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音別と白糠の町境に馬主来(パシクㇽ)という沼がある。現在でも鳥の多く集まっている所であるが、昔此島を支配していた神様が、船に乗って各地を見廻ってこの沖にやってきたところ、濃霧を吐く魔神が、海上一帯を海霧で包んでしまった為、船を岸に寄せ付ける事が出来ないで困っていると、霧の中から鳥の鳴き声がしたので、その声に導かれて無事に船を着けることが出来た。それ以来ここをパシと言うようになったという。中田千畝・アイヌ神話 ※パシはパシクㇽ(カラス)のクㇽを省略したものか?
昔白糠アイヌ鱈釣りに出、ふき流されし時、海霧深く何処とも知りがたしによって、海神に祈りしかば、空に鴉の声致せしゆえ、その声のした陸の方に船を寄せれば、この沼に至りしと。よってそのアイヌここに木幣(イナウ)を作りて、この沼に奉る。松浦武四郎・東蝦夷日誌 更にもう一話あるも、厚内のオタフンベと話の筋書きは殆ど同じなので十勝の伝説で掲載した。
白糠町から二キロ西ヘ寄った海岸の丘にあるオショロコッと言う沢である。オショロとは尻のことで、コッは乾沢のことであるが、この丘で昔義経が、より鯨を蓬の串に刺して焼いていたところ、串のもとが焼けて焚き火の中に倒れ、鯨の油に火がついて炎が大きくなったので、義経はびっくりして尻餅をついた。その跡が沢になったのであると伝えられている。白糠町 貫塩喜蔵エカシ伝
※古い記録では松浦武四郎の東蝦夷日誌にあり。以下その部分を転載「義経公此処にて蓬の串に鯨をさし、焼給し時の串折れしかば、火が飛たりと、其時驚て尻餅つき給しによってなずけしものと」とあり。“osor-kot=オソルコッ”は“尻餅をついた跡の窪み”という意味になる。
昔弁慶と義経とが、釧路の知人岬から弓勢の競争をしたとき、義経の矢はここまできて土に深く刺さり込んだが、弁慶の矢は半分も飛ばないで落ちてしまった。義経は鼻高々に「どうだ俺の弓の勢いはたいしたものだろう」と自慢すると、沖の方から「そんなに威張るな」という声が聞こえたので、声の方を見ると波間から海馬が頭を出して笑っていた。義経は大いに怒って、すぐさま射殺して引き上げ尻から串をさし込んで土に突きさし、火を焚いて焼いた。火に当たっているうちに居眠りをはじめた。海馬はじゅじゅ油を滴して焼けていたが、串に火がついて燃え、急にドスンと大きな音がして、火の中に落ちたので、義経はびっくりして尻餅をついた。その時へこんだ尻跡だという。白糠町 矢石オシコネシエカシ伝
※話の導入部が弓勢の競争で、結果を笑われその相手を射殺して焼く。相手が海馬という事で珍しい伝説。
昔弁慶と義経とが、釧路の知人岬の所にたってあたりを見ていたが、誰の矢が遠くまで飛ぶかやってみようと言うことになり、二人は各々一本づつのエゾマツの矢を此の岬から射た。ところ弁慶の矢はやっと大楽毛と庶路の間に達したのに、義経のものはそれよりずっと先に飛んで白糠海岸のオショロコッの所まで達して、その丘に刺さり根が付いて、たった一本孤立したエゾマツになった。それで白糠コタンでは、このエゾマツをポンシュンㇰと言って、神様に酒をあげるときは、必ずこのポンシュンクにもあげたと言うが、山火事(昭和7年頃)で焼けて枯れてしまったという。白糠 貫塩喜蔵エカシ伝
※このとき弁慶の射た矢も根付いて大楽毛川の河口にある一本松になつたという伝説が残っている。その松は鉄道工事で切り払われてしまったとの事です。
白糠と十勝の国境に、ウコタキヌプリという山があり、山へ猟に行くときは必ずこの山に木幣を捧げる事になっている。ここはユケランヌプリとも言って、昔、鹿を司る神様が天から鹿を下ろしたところであると言い、最近まで、良く雷鳴がして、鹿が下ろされる音がしたという。足寄や白糠地方に鹿の多かったのは、この山に降りた鹿が峰を伝って人間の里へ集まって来るからだと言い、白糠ではこの山の峰続きになっている石炭岬やサシウシの岬(サシウシチャシ)に酒を捧げ、鹿を下げてもらうように祈願したものである。白糠町 差間三平エカシ伝
昔、サシウスのチャシに美しい女の首長がいた。その名をホルペチヤ・カムィ・メノコと言った。あまり美しいのでカンドコロカムィ(天上の神様)が天下ったのではないかといわれたものだ。この女首長は立派なシトキ(胸飾りの玉)を持っていた。それを聞いた厚岸の首長が奪い取ろうと、部下を船に乗せ不意に攻め寄せてきた。サシウスコタンのアイヌは常に恐ろしい評判の厚岸首長が来たと聞いただけで、はや逃げ支度するという大騒ぎになった。しかし、女首長は少しも騒がず、静かにチャシの中央にたって、天に向かって神の助けを乞う祈りをしたとたんに、忽ち旋風が巻き起こって、チヤシに半ば攻め上った厚岸勢は木の葉のように吹き飛ばされて、サシウスの東の方で皆殺しになった。そこをチコップと言うのは、皆殺しにしたと云う意であるという。白糠町千葉ヌイフチ伝
白糠町に有る庶路川の上流から阿寒に抜ける穴があると古くから伝えられ、これはあの世に通じているアフンルパロではないかと言われている。昔、2匹の犬が熊を追ったところ、熊はこの穴に逃げ込んだので、2匹の犬も続いて後を追って中に入って行ったが、一匹は熊を追って阿寒の麓ヘ抜けることが出来たが、一匹の犬は遂に出てこなかった。それで穴が二つに分かれていて一方はあの世に続いているのでは無いかと言われている。美幌町 日下ユキフチ伝 ※ahun-ru-par⇒入る道の口⇒あの世への入口。
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