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『北見の美幌コタンに、昔、非常な力のあるマッネ・モショミという宝刀があった。ある時、網走郊外のオホーツク海に面した、タンネシラリという所の崖に魔神が住んでいて、色々の悪行を働くが、誰もそれを退治出来ないので困ったあげく、考えついたのが美幌コタンに有る宝刀であった。そこで使いの者が美幌コタンに行って、訳を話してこの宝刀を借りて来て魔神退治に出かけた。ところが魔神は、普通ではとても行く事の出来ない岩の上にいるので、仕方なくこっちの山から葦で橋をかけて渡ろうとしたが、それが途中で折れてしまって、どうしても行く事が出来ない。そこで思いあまって持っていた宝刀を魔神めがけて投げつけたところ、宝刀はあやしい光の尾を曳いて飛んでいき、慌てる魔神に飛びついて、たちまちにバリバリと食べてしまった。こうして魔神は退治する事がで来たが、絶壁の上に投げつけられた刀は取りに行く事が出来ず、歳月のたつうちに、宝刀は遂に蛇になって絶壁にぶら下がっていたが、それ以来美幌コタンの宝刀はなくなってしまった』菊池儀之助エカシ伝・更科源蔵遍「アイヌ伝説集」より。
『昔は美幌コタンから網走に行くには東女満別から中園、トイタコタン (現在の昭和集落)を経由してニクルパケ(東藻琴)に出る道を普通としていた。この道の途中に中園からトイタコタンに行く間にウポポウシという所がある。ウポポウシとは歌舞をした所という意味であるが、ここを一人の老人が山越して網走へ行こうと歩いていると、どこかで「ウン ウン ウンフ ウ チュイ ロレアイク オキナ チュレイロ」というウポポ(歌舞)をする声が聞こえて来る。声を頼りに近寄ってみると、三つの輪になって大勢が踊っている。なおもよく見ようと近よると、急に踊りの輪が乱れバタバタと激しい羽ばたきの音がして、一群の鳥が飛び立ったので、この鳥はきっと人間の先祖達に違いないと思って、急いで美幌に引き返し、酒をつくって神様にあげ、屋根の上に大きなイナウをあげた。それを見てここを通る鳥は「チパシリ、チパシリ」と鳴いて飛んでいった』菊池儀之助エカシ伝・更科源蔵遍「アイヌ伝説集」より。
『ある夫婦が狩りに行って湿地の近くの狩り小屋に泊まっていると、綺麗な女が入ってきてしきりに夫の方に秋波を送るので、いきなり自分の着物の前をめくって毛の生えた口を出して、それをご飯の箆でペチャペチャ叩きながら「人間だったら二口で食べれ、化け物だったら一口に食べてしまい」と言ったので、女はびっくりして首をかしげて見ていたが、横っ飛びに飛んで逃げ出してしまった。ニタイラサンベという化け物は、良く若い女になって木の枝に腰をかけて、歌を歌いながら糸に縒りをかけたりしている。それは化け物だと見破って、矢を射かけても、実態はそこにないから効果はない。このお化けはたまに人間の中に生まれ変わって来ることもあるが、それには陰毛が無いから、陰毛のない女をもらうものではない。』菊池儀之助エカシ伝・更科源蔵・アイヌ関係著作集
美幌町のアイヌ伝説に北見バスの観光資料で美幌コタンの伝説というのがあるが、出所が不明なので省略した。
『寛政年間、国後・目梨のアイヌ人が山を越えて、美幌川上流より川岸に沿って、網走に攻め寄せた際、美幌アイヌはこれに拠って、防戦奮闘した古戦場であると伝えられている。』美幌町史・昭和47年
『目梨・国後アイヌが反乱を起こし、戦いに利なく山越えして美幌まで落ちのびてきたとき、美幌アイヌがこのチャシを前哨陣地として闘い敵を撃退した古戦場であるといわれている。』美幌町・菊池儀之助エカシ伝 ※チャシには祭壇が有り霊場となっているところもある。特に美幌町報徳のウエンチャシや高野のリンナイチャシは美幌アイヌの霊場として崇められていたという。
『このチャシには、昔ニセペシというサパネクル(首長)がいて、この人は仲々の人物で神様のような人であった。六人の子供があったが、長男をエクシュレイ、二男はカンチャレシュイ、三男はウナヤンケ、四男はコロコツウエ、五男はトカツペシ、六男をレラサマといった。この子供たちは幼い頃毎日半分が黒、半分が白い石をお手玉のようにして遊ぶのが大変上手で、他の者達は誰も真似の出来ない位であって、次の様な歌にあわせて遊ぶのが常であった。
リンナイフタップ ヌタツカシテ セカチ
アリキクンネ アレケレタルスマ シユノツト
ところが六人とも成人して大変偉い人物になった。長男は釧路の首長に、二男は湧別、三男は天塩、四男は石狩、五男は十勝の夫々の首長になり六男レラサマはリンナイチャシの首長になった。』※レラサマは伝承者・菊池儀之助(ウカイセ)エカシの先祖であるという。
『なんでも草のボーボーと茂っていて、水の湧く所というのはおっかない(恐ろしい)ものだ。湿地の中には湿地眼(ヤチマナコ)あるべさ。あれはトイ・ラサンベ(湿地の妖婆)がかけた罠なんだ。あそこはどこよりも早くもうまそうな草が伸びる。青草の欲しい鹿がうまそうな草を喰いたくて、ぼんやりこいで近寄ると妖婆の罠にかかって、あっという間に脚を捕られてしまい、騒げば騒ぐほど泥の中に引っ張りこまれ、とうとう妖婆の籠(サラニップ)の中にすぽっと入れられてしまう。妖婆はその鹿に呪いをかけて餌にし、人間が来るのを待っている。馬鹿な人間がそれに気づかずに、この妖婆のかけた餌を食べたり、この水を飲んだらもうおしまいだ。すっかり妖婆と同じ心になってしまう。湿地眼の縁の草というのは、本当は湿地の妖婆の陰毛(ホヌマ)だ。それで鹿をだまくらかして、底なしの罠に引っ張り込むのだ。湿地眼ばかりでない。なんでも、うまそうな草の生えて、水の湧くところはおっかないものだ。』美幌町・菊池クラフチ伝・更科源蔵・アイヌ関係著作集
ウライチャシクルは牡牛座のアルデパラン『この星は悪い心(イキ・ウエン)を起こすと赤くなり、そうすると魚が取れない。イキ・ピリカ(心が良い)だと魚が沢山とれるもんだ。』美幌町・菊池チャシヌムフチ伝・更科源蔵・アイヌ関係著作集 ※ウライは梁の事
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